年末年始にお休みをいただいて、ベルギーに旅行をしてまいりました。
今日から勝手に旅行記を連載します。

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1.夜を追いかけて
トーキョーからワルシャワ、ワルシャワからブリュッセルへ

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大晦日の夜の成田空港は見たことがないくらい人がおらず、しんと夜に沈んでいた。クレジットカードの付帯保険(※1)の関係で、成田までの京成線をカード決済しないといけなかったのに、うっかりモバイルSuicaで入ってしまい慌てる。第一の冷や汗である。さいわい、JR側の改札で第二ターミナルから第一ターミナルまでの乗車券をさかのぼって買うことを思いつき、ことなきを得た(※2)。駅員さんに「時々こういう方がいるんですが、いったいなぜなんでしょう?」と不思議な顔で聞かれる。土壇場のコペルニクス的ひらめきである。お困りの際はおすすめします。

ワルシャワ・ショパン国際空港はコンパクトな作りだったが、案内がとても簡素なのと、ポーランド訛りの英語がまったく聞き取れず、すぐさま迷子になる。だれかにたずねようにも元旦の早朝の空港にはやはり人が全くいない。
ちなみに、ポーランド・ベルギー間の乗り換えはシェンゲン圏内(※3)の移動になるため、旅行者であっても入国審査が不要である。そのため、私はブリュッセルではなく、ワルシャワで入国審査をうけることになるが、トランジットまで1時間20分しかない。大いに冷や汗をかいたが(この旅行最大の冷や汗である)、なんとかぶじ搭乗口までたどり着いた。

ワルシャワからブリュッセルへの便(二時間)は、短時間の乗り換えにそなえて人生初のビジネスにした。新年早朝のブリュッセル便はさらに人がおらず、ビジネス席は私ひとりである。素敵なポーランド紳士がサービスに始終ついてくれて、フランス語でお姫様のように扱ってくれた(ただし至れり尽くせりなのにアルコールが出なかったので私を子どもだと思っていた可能性あり)。きちんとした重みのある食器でテーブルに乗らないほどの朝食がでた。パンも選び放題である。ケーパーベリー(※4)という食べたことのないピクルス(写真左下はじ)を知る。コーヒーがとてもおいしい。

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ブリュッセル国際空港はホリデーの空気があり華やか。なんだか”西側"についたという感がある。 12月31日の夜に東京を出て、ワルシャワ上空でようやく初日の出にであう。


※1 クレジットカードの付帯の旅行保険の適用要件として、出国までの公共交通機関をクレジット決済すること、とある。最大で1億円と手厚い。

※2 3分、150円。もちろん乗っていない。

※3 ヨーロッパの27の国で構成される領域。シェンゲン圏では渡航者が圏内に入域、または圏外へ出域する場合には国境検査を受けるが、圏内で国境を越える際には検査を受けないことになっている

※4 ケーパーの実。日本でよく見るケーパーは実ではなくてつぼみらしい。なお、オリーブのような形だが固い種はなく、ぷつぷつとした小さな可食の種がたくさん入っている。ものすごくおいしかったので、ブリュッセルで瓶詰めを探しまわり、買って帰ることになる。