いわさき司法書士事務所の津田です。

長崎市青山町の私道封鎖問題についての最終回です。

訴訟となれば、かなり時間がかかり、その間、不動産の価格も決められない状況になります。

住民側は売却しようにも、二束三文で買い叩かれることになるでしょう。

Googleストリートビューを見ると、売地の看板が立っている土地もあります)

 

一方、B社側としても、「無償の囲繞地通行権」が認められたり、通行料の請求が「権利の濫用」と判断されて敗訴するリスクがあります。

 

それでは、現実的な解決策としては、どのような方法になるでしょうか?

 

「当初のB社の申し出通り、道路部分をB社が長崎市に寄付し、それを長崎市が認可地縁団体となった自治会に贈与する」という和解が成立するのではないかと個人的には考えています。

 

この「認可地縁団体」とは、地方自治法260条の2により、自治会・町内会などに法人格を付与したものです。

以前は、自治会・町内会などに法人格を付与する制度はなく、「権利能力なき社団」として取り扱われていました。

権利能力なき社団の場合、代表者の個人名義か、構成員の共有名義として登記する方法しかありません。また、代表者に肩書きをつけて登記することも認められません。

これでは自治会が所有する集会所などの不動産は、代表者や住民の交代ごとに、その都度、所有権移転登記を行う必要があり、また、登記名義人の債権者より差し押さえられるリスクもあります。

 

そこで、平成3年の地方自治法改正により、一定の要件を満たす地縁団体は、市町村長の認可を受けて、認可地縁団体として法人格を持つことができるようになりました。

 

認可地縁団体として認められる要件ですが、

①良好な地域社会の維持等に資する地域的な共同活動を目的とし、現にそれを行っていること。

②その区域が客観的に定められていること。

③その区域の個人は、構成員となることができ、現に相当数が構成員となっていること。

④規約を定めていること。

⑤不動産に関する権利等を保有または保有を予定していること。

となります。

 

特に、③の要件は重要で、その地域に住所を有する個人であれば誰でも加入できるものである必要があります。

つまり、老人会や婦人会などは、「一定年齢以上であること」「女性であること」が加入の条件となっているものと思われますので、認可地縁団体になることはできないということになります。

 

次に法人格取得のための手続きですが、

規約案や区域図面の作成等の必要書類の準備を進めます。

認可の下りるものである必要があるので、市区町村の地域づくり推進課への相談は必須です。

準備ができたら、総会を開催し、①認可申請の意思決定、②構成員の確定、③認可書類事項の議決を行います。

そして必要書類を揃えて、市区町村の地域づくり推進課に認可申請書の提出を行います。

 

認可が下りると、市町村長から告示が行われます。

法人ですが法務局への登記申請ではなく、市町村長の認可・告示で成立します。

 

次に、代表者の代表印の登録を、市区町村の市民課に行います。

印鑑証明書も市区町村の市民課で交付されることになります。

 

その後、自治会の代表者名義や住民の共有名義となっていた不動産は、「委任の終了」を登記原因、市町村長認可の日を原因日付として、認可地縁団体に所有権移転登記を行うことになります。

 

私の実家の町内会も、数年前に認可地縁団体となりました。

認可地縁団体になった方が、「権利能力なき社団」で運営されるより、様々なリスクを排除でき、最初にいろいろと準備が必要となること以外、メリットしかありません。

もし認可地縁団体になっていない町内会の役員をされている方は、これを機にご検討されることをお勧めします。

それでは失礼します。