いわさき司法書士事務所の津田です。

不動産登記において、登記名義人が申請人となる場合、氏名/名称、住所/本店に変更がある場合には、原則として、あらかじめ登記名義人氏名・住所変更登記(通称「名変登記」)をしておかないと、登記申請が却下されます。

【不動産登記法第25条(申請の却下)】
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。

七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。

住所が変更されるのは、引越しなど名義人自身の行為によるもののほかに、行政が実施する地番変更や住居表示の実施によるものがあります。
行政が実施したことですが、地番の変更の伴わない行政区画の変更(市町村合併の場合など)を除いて、名変登記を行わなければならないとされています。
※公知の事実だからとされています。
ただ、行政が行ったことなのに税金を課すのはおかしいので、一定の非課税証明書を提供することで、名変登記の登録免許税が非課税となります。

【登録免許税法第5条(非課税登記等)】
次に掲げる登記等(第四号又は第五号に掲げる登記又は登録にあつては、当該登記等がこれらの号に掲げる登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
  • 四 住居表示に関する法律(昭和三十七年法律第百十九号)第3条第1項及び第2項又は第4条(住居表示の実施手続等)の規定による住居表示の実施又は変更に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
  • 五 行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はこれらの名称の変更(その変更に伴う地番の変更及び次号に規定する事業の施行に伴う地番の変更を含む。)に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録

上にあげた条文の柱書にある「財務省令」は登録免許税法施行規則のことで、その第1条に、必要な書類の定めがあります。

【登録免許税法施行規則第1条(登録免許税の免除を受けるための書類)】
登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号。以下「法」という。)第5条に規定する書類は、次の各号に掲げる登記又は登録の区分に応じ当該各号に定める書類とする。
  1. 法第5条第4号に掲げる登記又は登録 その登記又は登録が同号に規定する住居表示の実施又は変更に伴つて受けるものであることを証する当該実施又は変更に係る市町村長(特別区の区長を含む。次号において同じ。)の書類
  2. 法第5条第5号に掲げる登記又は登録 その登記又は登録が同号に規定する行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はこれらの名称の変更に伴つて受けるものであることを証する当該変更に係る市町村長又は同号に規定する事業の施行者(国及び法別表第二に掲げる者以外の者にあつては、その者が、当該事業の施行について都道府県知事又は市町村長の認可を受けた者であることを当該都道府県知事又は市町村長の証明により明らかにされたものに限る。)の書類

住居表示実施であれば、市町村役場で入手できる住居表示実施証明書戸籍の附票を非課税証明書として提供します。
※住居表示実施証明書のもととなる住居表示実施台帳には世帯主しか記載されないため、世帯主以外の場合は発行してもらえないこともあり、戸籍の附票を非課税証明とするしかありません。

また、地番変更であれば、地番の変更によって当然に住所が変わるケースでは、事業の施行者(地番の変更の場合は法務局)から所有者に送付された証明書や、ご本人がそれを受けて住所変更の申し出をしたことの市町村の証明書を添付します。
※地番の変更に伴って当然に住所が変更になる場合や、法務局からの地番の変更の通知を受けて所有者が申し出た場合にのみ住所が変更になるなど、行政の運用により様々なケースがあります。

ただ、地番の変更については法務局自身が実施者ですし、登記名義人が会社である場合、会社の登記簿に本店変更の登記がされていれば、どのような事由により本店が変更されたのか明らかとなるので、この場合にも非課税証明書を要求することには疑問に感じます。

同様のことは、共同根抵当権の追加設定登記にあたり、既存物件が管轄外の場合の添付情報にもいえます。
登記官は登記オンラインシステムで既存物件を確認できるはずですが、申請の際に紙で前登記証明書(既存物件の登記事項証明書)を添付する必要があります。

住基ネットや登記オンラインシステムなどが導入されたのは、行政機関の情報を共有することで、行政手続きのワンストップサービスを実現し、国民の負担を軽減することが(表向きな)目的だったはずです。 これを見る限り、これらの導入によって、その目標が達成されたとは言い難いように思います。

なお、住所変更の事由が複数ある場合、順序により登録免許税に違いが出てきます。
登録免許税
引越しが先、住居表示実施・地番変更が後 非課税
住居表示実施・地番変更が先、引越しが後 不動産1個あたり1000円

本日はこれで失礼します。