いわさき司法書士事務所の津田です。

タイトルの「オンライン申請資格者代理人方式」とは、登記申請に必要な書面の原本をPDF化し、それに司法書士などの資格者代理人が電子署名をして、登記申請をする方式をいいます。

現在、この「オンライン申請資格者代理人方式」の導入に向けて、法務省で準備が進められているようです。

現在の不動産登記の申請方式には3種類あります。
  1. 書面申請
  2. 完全オンライン申請
  3. 特例方式(半ライン申請)

「1.書面申請」は文字通り、申請情報および添付情報のすべてを書面で法務局に提出して申請する方法です。イメージ付きやすいですね。

「2.完全オンライン申請」とは、登記申請に必要な情報をすべて電子化して申請するものです。 現行の不動産登記法は、この方法を原則的な方式だと考えています。
この方式では、登記申請に必要な情報には、作成者が電子署名し、電子証明書を添付することが求められます。 しかし、個人で電子署名を持つ人はほとんどいません。
また、相続登記などで必要となる戸籍事項証明書(戸籍謄本)や農地の売買等で必要となる農地法の許可書は紙でしか存在しませんし、裁判所も未対応です。
不動産登記法の理想とは裏腹に、周りが全くついていけてないのです。

そこで、平成20年に法務省は「完全オンライン申請」が実現できるまでの過渡的な方法として、「3.特例方式」を認めることとなりました。
※現行の不動産登記法が施行されたのは、平成17年のことです。

「3.特例方式」は、"登記申請情報"、"登記識別情報"、"登記原因証明情報をPDF化したもの"はオンラインで、"登記原因証明情報の原本"と"それ以外の添付情報"は紙で、法務局に送る方式で、半分オンライン・半分書面ということで「半ライン申請」とも呼ばれています。

少し前まで特例方式でも登録免許税の軽減が認められていたため、平成29年の時点で不動産登記申請の概ね30%が、この特例方式によるものとなっているようです(それ以外は書面申請)。

しかし、このままでは特例方式だらけになってしまうと危機感を持った(?)法務省は、完全オンライン申請の実現に向けて、添付情報への電子署名を行う者を"司法書士などの資格者代理人"でも可能とする「オンライン申請資格者代理人方式」を導入する方向で準備を進めています。
※ 当初は昨年度中の導入予定でしたが、たびたび延期されており、導入時期の見通しも立っていないようです。

「2.完全オンライン申請」と「オンライン申請資格者代理人方式」の違いをまとめると、
完全オンライン申請 資格者代理人方式
誰が行う申請にも適用される 資格者代理人による申請・官公庁の嘱託のみ
登記原因証明情報と司法書士への委任状には、申請当事者自身が電子署名する 申請当事者が作成した登記原因証明情報と司法書士への委任状の原本をPDF化し、それに司法書士が電子署名する
登記済証を添付する場合は不可
(司法書士が本人確認情報を作成して提供するか、法務局からの事前通知の方法による)
登記済証をPDF化して司法書士が電子署名する
承諾書をPDFファイルで準備し承諾した者が電子署名する 承諾書が作成した承諾書をPDFファイル化し、司法書士が電子署名する
市町村長が農地法の許可書を電子署名付きPDFファイルで交付する 農地法の許可書に司法書士が電子署名する
株主総会議事録・取締役会議事録を会社がPDFファイルで作成し、出席者全員が電子署名する 株主総会議事録・取締役会議事録をPDF化し、司法書士が電子署名する
判決書・調停調書・和解調書・審判調書を裁判所がPDFファイルで作成し、裁判所が電子署名する 判決書・調停調書・和解調書・審判調書をPDF化し、司法書士が電子署名する

つまり、紙でしか存在しないものでも、司法書士がPDF化し電子署名すれば、それを原本が添付されたものと認めるということです。

登記官が別途確認していた原本確認の責任を、司法書士が一手に引き受ける形になることになり責任が加重されることへの懸念や、法務局で30年間保存されていた原本を司法書士事務所で保管することが必要となることもあり、反対意見も多いようです。

一方で、「原本の存在の保証権限」から一歩進んで、「実体関係の公証権限(登記原因の存在そのものの証明権限)」を司法書士が持てるような制度改革を実現しようという意見もあるとのこと。
この場合には、登記原因証明情報そのものを司法書士が作成することとなります。

今後どのように進むのでしょうか?

本日はこれで失礼します。