いわさき司法書士事務所の津田です。

11月16日(土)14時から17時にかけて、日本司法書士会連合会中国ブロック主催の研修「外国人の法律相談」に参加してきました。

講師は、東京第一弁護士会所属のいずみ橋法律事務所の本田麻奈弥弁護士が勤められました。
 
日本人は少子高齢化の影響で減少傾向にありますが、在日外国人は増加傾向にあり、このことは都会か田舎かに限らず、データ上どの地域でも見られる傾向だそうです。

外国人に起こる法律問題には、
  1. 外国人にしか起こり得ない問題
  2. 日本人でも起こり得るが外国人特有の法律上の論点を含むもの
の二つに分けることができます。

特に2に該当するケースでは、外国人から法律相談を受ける際は、常に"在留資格"の存在を意識しておく必要があります。

例えば、日本人の配偶者である外国人から離婚の相談があった場合、離婚の結果、在留資格を失って、日本から退去しなければならなくなる事態にもなりかねません。
また、残業代未払いの相談に来た外国人が、その仕事につくことができない在留資格だった場合、資格外活動を行ったということで強制退去事由に該当することになります。

後者の場合、未払残業代を請求することは当然の権利ですが、使用者側が入管に通報することで、相談者の日本での生活基盤を奪われてしまうという不利益があり得るからです。
それとこれとは別問題ということです。

在留資格の確認方法は、中長期在留者の場合には在留カード、短期滞在者はパスポートで確認します。
確認方法は出入国管理庁のHPで確認することができます。

在留資格には大きく分けて、2つの種類があります。
① 一定の活動をするために日本に滞在することが認められる在留資格
 (例:留学、技術・人文知識・国際業務、特定技能、興行など)
② 活動に制限のない在留資格
 (例:永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者など)

①の場合、在留資格で認められた活動以外の活動をすることは、退去強制事由に当たります。
そのような活動をするためには、在留資格とは別に入管で「資格外活動許可」を取得する必要があります。

コンビニ等で、海外からの留学生がアルバイトしていますが、この人たちの在留資格は"留学"で、働いて収入を得ることは資格外の活動となります。
外国人をアルバイトとして雇用しようと考えてる方は、その人が資格外活動許可を取得しているかを必ず確認しましょう。
なお、資格外活動許可があっても、労働時間に制限があるので注意が必要です。

次に、外国人の法律問題を取り扱う際に考慮しなければならないのが、①国際裁判管轄と②準拠法の問題です。
①国際裁判管轄とは、その事件を日本の裁判所が扱えるのか?
②準拠法とは、その事件にどの国の法律が適用されるのか?
という話です。

さらに、国際裁判管轄が日本にあり、準拠法が日本法が適用されるとして、その法律効果が海外の法律関係にも及ぶのか?(また執行が可能なのか?)など、考慮すべきことは多岐に渡ります(日本人の海外財産でも同様の問題があります)。

国際裁判管轄の確認は、民事訴訟法第2章第1節、家事事件手続法第1編第2章の2、人事訴訟法第1章第2節第1款に規定があります。
準拠法は「法の適用に関する通則法」で定めがあります。
但し、外国人の本国法が適用されると規定されていても、本国法で日本法に投げ返されてるケース("反致"といいます)もあり、外国法の確認も重要です。

なお、相続の場合、被相続人の本国法が準拠法となります。
そのため、被相続人が日本人であれば、それほど難しくありません。
逆に、被相続人が外国人の場合には、相続人が日本人の場合でも被相続人の本国法が適用されるため注意が必要です。

最後に、技能実習生の問題についての話がありました。
上述の通り、外国人本人にとって在留資格は重要な問題です。
その弱みに付け込んで、低賃金・強制労働が行われているという実態があります。
司法書士は国民の権利擁護を使命としますが、この"国民"には外国人も含まれるとされています。

それとともに、昨年の入管法改正に伴い新設された在留資格である“特定技能”についても、同様の問題があるとの話でした。

人手不足で外国人を安易を入国させようとしていますが、その外国人たちが孤立感を深めていった結果、独自のコミュニティを作り、社会の分断につながる可能性があります。
外国人にも日本人と同様に労働法の規定の適用があり、それ以上に一人の人間であることを知って、受け入れていくべきなのではないかと思います。