いわさき司法書士事務所の津田です。
愛煙家には厳しい世の中になっています。
今回は、コメダ珈琲店が2020年1月22日から全席禁煙化するという話です。
これは健康増進法に基づくものですが、2020年4月1日より多くの利用者がいる施設、電車・列車、飲食店が原則として全面禁煙となります。
なお、すでに病院や行政機関の庁舎などでは、敷地内全面禁煙となっています(広島法務局も1階にあった喫煙ボックスがなくなりました)。
ただし、喫煙室を設けることで、店内での喫煙が可能な場合もあります。
喫煙室には3段階あって、
- 喫煙が可能だが、飲食等の提供ができないもの
- 加熱式たばこに限定して喫煙が可能で、飲食等の提供が可能なもの
- 喫煙が可能で、かつ、飲食等の提供が可能なもの
に分かれます。
※ 味付きのリキッドを蒸発させて、それを吸ういわゆる"電子タバコ"は、ニコチンを含まないため規制の対象外ですが、誤解を招かないように店内ルールで禁止する必要があるでしょう。
3つ目の喫煙可・飲食可の喫煙室は、"既存特定飲食提供施設"に限り認められます。
この"既存特定飲食提供施設"とは、
- 条件1:2020年4月1日時点で、営業している飲食店であること。
- 条件2:中小企業基本法における定義などから資本金5,000万円以下であること。
- 条件3:客席面積100㎡以下であること。
のすべてを満たすものをいいます。
コメダ珈琲店の資本金は1億9680万円ですので、既存店舗も含めて禁煙にすることが義務付けられることになります。
法律施行後、資本金を増加させたり、増床するなど、これらの条件を満たさなくなった場合には、"既存特定飲食提供施設"から外れることになります。
また、喫煙室には、上のような標識を必ず掲げることが必要で、客だけでなく従業員も含め20歳未満の者を立ち入らせることが禁止されます。
特に、従業員は料理の配膳だけでなく、清掃であっても立ち入らせてはならないとしており、アルバイトの採用にも影響が出ることが予想されます。
なお、喫煙室の内側と外側には、気圧差を設け、喫煙室の外側から内側への気流を0.2m/秒以上とすることで、たばこの煙が漏れないようにしなければなりません。
比較的ニュースで取り上げられていた東京都の受動喫煙防止条例に較べると、広島県の規制は法律の規制とそれほど変わりがありませんが、今後、東京都を後追いする形で規制が強化されることも考えられます。
- | 健康増進法 | 東京都受動喫煙防止条例 | 広島県がん対策推進条例 |
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飲食店以外 | 屋内禁煙
(喫煙専用室(喫煙のみ、飲食不可※)内でのみ喫煙可) |
国と同じ | 国と同じ |
飲食店(バー、スナックを除く) | 原則屋内禁煙(喫煙専用室内でのみ喫煙可) ※加熱式タバコ専用の喫煙室では飲食可 ※但し、客室面積100㎡以下で、個人又は中小企業(資本金5千万円以下)は規制対象外(喫煙可能である旨の標識を掲示する必要がある) 喫煙可能部分は、客・従業員ともに20歳未満は立ち入れない ※喫煙可能店は都道府県都等への届出が必要 ※新規の飲食店は当初から屋内禁煙(経過措置なし) ※従業員の募集にあたって、受動喫煙対策の明示を義務づける |
従業員を雇用している場合は屋内禁煙(但し、喫煙専用室内でのみ喫煙可) | 国と同じ |
加熱式たばこ | 喫煙室(飲食等も可)内での喫煙可 | 加熱式たばこについては、指定たばこ専用喫煙室及び喫煙専用室での喫煙を可 | 定めなし |
標識の掲示 | 喫煙場所のみ掲示 | 禁煙の飲食店も掲示 | 禁煙の場合は掲示義務 |
罰金・過料 | 50万円以下の過料 | 5万円以下の過料 | なし |
なお、「喫煙を主目的とする」バーやスナック、公衆喫煙所のような、全面的に喫煙可能な空間も一定の要件を満たすことで、喫煙が認められます。
昔ながらの喫茶店は、コーヒーを飲むだけでなく、たばこを吸うスペースとして存在していたように思います。
"喫煙を主目的とする"というのは、どのように判断するのでしょうか?
- 条件1:ご飯ものや麺類など、「通常主食と認められている食事」を主に提供していないこと
- 条件2:たばこを販売することの許可を得て、対面でたばこの販売を行っている飲食店であること
この2つの要件を満たすことが必要です。
“「主食と認められている食事」をおもに提供”しているとは、店内で調理することを指すので、出前や電子レンジでチンするだけの場合は、これに該当しないとされています。
また、たばこ販売を行うには、JTの支社を通じて財務局に許可申請書を提出する必要があります。
飲食店で対面でたばこの販売を行うことは、“特定小売販売業”に該当します。
許可が下りるまでに、2か月程度の期間を要するので、早めに手続きを行う必要があるでしょう。
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