いわさき司法書士事務所の津田です。

12月21日(土)13時~17時に、広島司法書士会館にて実施された、「民法(債権関係)改正と司法書士実務」の研修に参加してきました。

講師は、東京司法書士会の初瀬智彦司法書士が務められました。
初瀬司法書士は、日司連の民事法改正対策部の委員として、司法書士業界を代表して、民法改正の法制審議会にオブザーバーとして出席されていたようです。

今回は4時間という時間の制約から、かなり駆け足となりましたが、2020年4月1日の民法改正のうち、司法書士実務に影響があると思われる部分について解説がなされました。

その中でも、特に”保証””諾成的消費貸借”に関する部分は力を入れて解説されていたように思います。

保証では、保証人保護の観点から 保証の意思を公正証書で表明していなければ保証契約が無効となったり、債権者や主債務者から保証人への情報提供の義務が定められました。
保証の形態により適用の有無が異なるため、それを正確に切り分けておく必要があるでしょう。

また、諾成的消費貸借が条文上認められたことで、登記原因証明情報の記載に変化が見られるだろうとのこと。
登記原因証明情報は、「なぜ所有権が移転したのか」、「なぜ抵当権が生じたのか」を明らかにされている必要があります。
消費貸借契約は要物契約で物の引き渡しがあって始めて成立するものであり、抵当権は被担保債権が存在しないと成立しません。
改正により意思表示の合致だけで契約が成立することになり、金銭の引渡しがなくても金銭消費貸借が成立し、抵当権成立の過程が変わるため、それに応じて登記原因証明情報の記載も変える必要があるでしょう。

なお、貸し渡す前に契約が成立することで、金融機関には”お金を貸す義務”が生じることになります。
契約成立後、債務者に信用不安が生じた場合のリスクを避けるために、諾成型金銭消費貸借にならないように業務フローを組み立てたり、契約書に契約成立時期を遅らせる規定を設けたりすることで対応する金融機関もあるようです。

ちなみに、今回の改正にあわせて、根抵当権の被担保債権の範囲に「“回り”電子記録債権」を含めることができるとする改正も行われます。

実務では、根抵当権の被担保債権の範囲に「電子記録債権」を含めることは、登記先例で認められていることから当然のように行われています。
しかし、物権法定主義は物権の内容は法律で定めなければならないとされており、「"回り"電子記録債権」を被担保債権とすることができるとする法律の規定はありませんでした。

今回、民法398条の2第3項が改正され、令和2年4月1日以降に設定契約のされた根抵当権から「電子記録債権」を被担保債権の範囲に含めることが可能となります。
すでに根抵当権設定契約の債権の範囲として「電子記録債権」が記載され、登記もされているケースも多いですが、裁判してみたら無効と判断されることもあり得るのでしょうか。

今回提供された資料は、結構分厚いので、年末年始の時間を使って熟読してみようと思います。