いわさき司法書士事務所の津田です。

前回の引き続き、配偶者居住権を取り上げます。

YouTubeを見ていたところ、円満相続税理士法人の橘先生「配偶者居住権を設定することで、相続税の節税効果がある」という話をされていました。


前回、配偶者居住権は被相続人の配偶者と子の仲が悪い場合に、子供たちに自宅から追い出されないよう配偶者を守る権利であるという趣旨のお話をさせていただきました。

しかし、"親子関係が良好であっても、配偶者居住権には使い道がある"という話です。

順を追って説明します。

前提として、建物を含む不動産を所有する父親がいて、配偶者として母親がおり、その間に子が一人いるというケースでみていきましょう。

まず、不動産を所有する父親が亡くなると、"第1の相続"が開始します。

父親は遺言を残していて、そこには「母親には死亡までの配偶者居住権を、子には不動産の所有権を相続させる」とあったとします。

子が相続する所有権の価値は、配偶者居住権により利用権が制限されるため、所有権の価格から配偶者居住権の価格を引いたものが、子が相続した所有権の価格となります。

母親は配偶者の税額軽減として1億6000万円までは非課税となるので、配偶者居住権により相続税の支払いが必要となることはほとんどないでしょう。
一方、子は承継した相続財産から配偶者居住権の価格分を差し引いた価格が相続税の対象となります。

つまり、母親・子ともに「配偶者居住権の価格分は、相続税を支払わなくても良い」ということになるのです。

次に、母親は亡くなると、"第2の相続"が開始します。
配偶者居住権は、設定を受けた配偶者が死亡すると消滅します。

配偶者居住権が消滅した結果、子が第1の相続で承継した所有権は、配偶者居住権の価格分だけ価値を増すことになりますが、その価値増加分は相続税の課税対象になりません。

結果、配偶者居住権には二段階の節税効果があることになります。

このことは、7月2日付で発出された相続税法基本通達の9-13の2(注)に記載されていて、「国公認の相続税の節税対策」とは、このことをいいます。

なお、配偶者居住権が設定の際に定めた存続期間満了により消滅した場合も同様に、所有権の価値増加分に対する課税(贈与税)はされない取扱いのようです。

逆に、配偶者が配偶者居住権を放棄したり、合意解除用法遵守義務違反による解除など、民法が予定している期間満了を待たずに配偶者居住権が消滅した場合、所有権の価値増加分に対して贈与税が課税されるので注意が必要です。

上で挙げた税理士の先生は、配偶者居住権の評価方法についても解説されています。


思いのほか、配偶者居住権の評価額が高いことがわかります。
それだけ、配偶者居住権による節税効果が高いといえるでしょう。

税務に関することは専門外ですが、興味深い話だったので今回取り上げてみました。
配偶者居住権の実際の評価は、税理士の先生に確認するしかありませんが、自分の死後、配偶者の生活を守るために配偶者居住権を遺言で残しておくことは決して無駄なことではありません。

配偶者居住権を踏まえた遺言作成は、弊事務所にご相談ください。

今回はこれで失礼します。