※DV等被害者の住所と登記の問題については、まず第一回の記事をご覧ください。

 
第二回は、被害者が所有権移転登記の権利者になるケースについてご紹介します。

(例)DVにより離婚した元妻が、元夫名義の不動産について財産分与をうける場合
被害者が実家の不動産を相続することになった場合など

不動産登記においては、不動産の所有者(登記名義人)の住所・氏名が登記事項とされており、売買や相続などで所有権の移転の登記を申請するときには、登記名義人の住所を証明する書類(住民票等)を提出する必要があるとされています。

DV等の被害者が、不動産を取得する際においても、住民票等の住所証明書類を提出しなくてはなりませんが、その住所が登記されることによって、加害者に住所を知られてしまう危険があることは、前回と同様です。そのため、場合によっては、特例として前住所や前々住所等を登記名義人の住所として登記できるとした先例(平成27年3月31日付民二第196号通知)が示されました。

この先例では、以下のような書類を提出することとされています。
・住民票上の住所を秘匿する必要があり、「住民票に現住所として記載されている住所地は、配偶者等からの暴力を避けるために設けた臨時的な緊急避難地であり、あくまで申請情報として提供した住所が生活の本拠である」旨を内容とする上申書(被害者である登記権利者の実印が押印されたもの)
・登記権利者の印鑑証明書
・上記の前住所(あるいは前々住所等)が記載された情報(住民票や戸籍の附票等)
・いわゆる「DV防止法」で支援を受けていることを証明する情報

この場合においても、前回と同様、登記申請書および添付書類について、閲覧制限がかけられることとなります。また、この閲覧制限の対象は、被害者が登記当事者にならないケース(※)についても範囲が拡大されました(平成27年3月31日付民二第198号通知)。

※相続登記において、被害者は登記名義人にならないが、共同相続人として遺産分割に参加しており、遺産分割協議書に住所が記載されている場合など

 

当事務所は、皆様のご事情を鑑み、秘密厳守にて慎重にお手続きを承ります。不動産のお取引や登記をあきらめず、まずはご相談ください。
いずれのケースでも、事前に管轄法務局と綿密な打ち合わせのうえ、最適な対応を検討いたします。

 

(参考)

平成27年3月31日付民二第196号通知
平成27年3月31日付民二第198号通知
登記研究808号105頁(平成27年)
登記研究818号9頁(平成28年)