不動産の相続や登記のルールが大きく変わろうとしています。

令和3年2月10日、法制審議会は、相続登記や住所・氏名変更の登記を義務付ける法改正案を法相に答申しました。
改正案では、相続による不動産の取得を知ってから3年以内、住所や氏名の変更からは2年以内の登記を義務化し、正当な理由なく過怠した場合は、過料を科すものとしています。法務省は今国会中に関連法案を提出する方針です。

 

相続登記の義務化

現行の法制度において、相続登記(を含む権利の登記)は義務ではありません。
手続きが面倒だと先延ばしにしたり、相続人の協議がまとまらず手続きを諦めるケースもあろうかと思います。資産価値がなく管理も難しい田舎の土地などは、放置せざるを得ない場合も多くみられます。相続登記を行わないでいると、時間の経過とともに関係者が死去したり、連絡がつかなくなったりして、相続人全員で協議を行うことが次第に困難となり、いっそう手続きが複雑化してしまいます。

現在、日本の国土のうち所有者と連絡がつかなくなっている土地は400万ヘクタール以上にもなり、公共事業や土地の有効活用を大いに妨げています。そのうち約7割が相続登記の未了、3割が住所変更の不備によるものだそうです。

今回の改正要綱では、土地所有者の相続人に対し、取得を知ってから3年以内の相続登記を義務付け、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料を科す旨定めています。この罰則は、当面は法施行後に発生した相続が対象になりますが、一定の猶予期間ののち、すでに発生している相続についても適用が広がる可能性があります。

 

住所・氏名変更登記の義務化

改正案では、転居や婚姻などで住所や氏名が変わった場合、2年以内に変更登記を申請することが義務化され、正当な事由なく怠った場合、5万円以下の過料を科すこととされました。法人の本店移転の登記も同様とされます。


なお、法制審議会の改正要綱の中では、相続登記を推進するための仕組みづくりや、財産管理制度の見直し、不動産の国庫返納の制度新設なども提言されました。

詳細は、次回の記事でご紹介します。