先週ご紹介した通り、令和3年2月10日、法制審議会は、相続登記や住所・氏名変更の登記を義務付ける法改正案を法相に答申しました。
改正案では、相続による不動産の取得を知ってから3年以内、住所や氏名の変更からは2年以内の登記を義務化し、正当な理由なく過怠した場合は、過料を科すものとされています。法務省は今国会中に関連法案を提出する方針です。

今回は、相続登記義務化にむけた不動産登記法・民法の改正の動きについて、登記実務の観点から改正要綱の中身を詳しくご紹介します。

 

1.相続登記について

不動産の所有者の相続人は、取得を知ってから3年以内の相続登記を義務付けられ、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料を科すという罰則規定が定められたことは、前回の記事でご説明したとおりです。

これに加えて、改正要綱は、法定相続分による相続登記がされていても、遺産分割によりその相続分を超えて持分等を取得した相続人は、遺産分割の日から3年以内にその登記を申請する必要があるとしました。ただし、法定相続分による相続登記が、嘱託や代位によってされた場合は適用外となります。

また、相続の発生をより登記に反映しやすくするための新しい仕組みとして、相続人の申出により登記官が行う「相続人申告登記(仮称)」を創設することが提言されています。
この制度では、相続人は、登記官に対し不動産の所有者が死亡した旨と、自らが相続人であることを申し出ることができ、登記官は職権で申出が行われた旨および申出を行った者の氏名・住所を登記するものとしています。相続人はこの申出を行えば、相続登記の義務を履行したとみなされます(ただし、その後に遺産分割が行われた場合は再度登記の義務が発生します)。

 

2.遺贈の登記について

相続人に対する遺贈の登記(相続人に対する遺贈に限る)も、相続の登記と同様に、取得を知ってから3年以内の登記が義務付けられる予定です。ただし、登記手続きを簡略化するため、共同申請の原則の例外として、相続人に対する遺贈の登記は登記権利者が単独で申請できるようになる見込みです。

 

3.法定相続分による相続登記の変更について

法定相続分による登記を行いやすくするために、下記の登記を行う場合は、更正の登記により、登記権利者が単独で申請することができるものとされています。

  • 遺産分割協議および審判または調停により持分等を取得したとき
  • 他の相続人が相続の放棄をしたとき
  • いわゆる「相続させる」遺言による登記
  • 相続人に対する遺贈の登記

 

 

(参考)
法務省HP 法制審議会第189回会議(令和3年2月10日開催)
配布資料2:民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案【PDF】