相続登記義務化へ、閣議決定

相続登記義務化への動きが着実に進んでいます。
令和3年3月5日、以前の記事(その①その②)で紹介した改正法案が閣議決定されました。政府は今国会中の成立を目指すとしています。

改正案では、相続による不動産の取得を知ってから3年以内、住所や氏名の変更からは2年以内の登記が義務化され、正当な理由なく過怠した場合は過料が定められています。

政府はいま、相続登記の義務化に加え、不動産の国庫返納の制度新設、財産管理制度の見直しなどを行うことで、大きな社会問題になった“所有者不明土地”の解消を目指しています。今回の記事では、この相続土地の国庫帰属に関する制度について取り上げます。

 

相続土地の国庫帰属に関する制度創設 相続土地国庫帰属法 (仮称) )

この制度は、一定の要件を満たしていれば、管理費相当額を納付のうえで、相続した土地を手放すことを認めるとする制度です。

申請人

申請権者は相続や遺贈(※)により土地を取得した所有者であり、申請人は、その土地を国庫に帰属させることについて“承認を求めることができる”とされています。
他に共有者がいる場合は、共有者の全員で行うことが必要です。相続以外の理由で持分を取得した共有者は、この場合に限ってのみ承認申請をすることができます。
※相続人に対する遺贈に限る。

要件

国庫帰属が承認されるための主な要件は下記のとおりです。

①建物がないこと
②抵当権等の担保権や、使用・収益を目的とする権利(地上権・永小作権など)がないこと
③土壌汚染がないこと
④境界が明らかで、争いのないこと
その他、崖や勾配、樹木や工作物、埋没物などの管理や処分が困難になる要因や、事情がないことが求められます。

管理費用

承認申請は法務大臣により審査され、必要の場合は法務局職員が調査を行います。申請が承認された場合、申請人はその土地の10年分の標準的な管理費用を負担しないといけません。承認申請人がこの負担額を納付すると、土地の所有権は国庫に帰属します。

管理費用は、用途や面積、周辺環境などに応じ政令で今後定められるとされています。
現時点での参考額ですが、国有地の標準的な10年分の管理費は、原野で約20万円、200㎡の宅地で約80万だそうです。

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現行の法制度においても、相続人が不存在であり、すべての清算を終わったのちにも残余した不動産は、国庫に帰属することになっています。この場合、相続財産管理人は残余不動産を所轄の財務局長に引き渡し、国は管理人が作成した引継書に基づき所有権移転登記を行うことになります。
しかしながら、実際のところ不動産が不動産のまま国庫に引継ぎされるのはかなりのレアケースであり、実務上は相続財産管理人が権限外行為許可を得て売却(換価)したうえで、現金を家庭裁判所に納入するという手続きがとられることが一般的です。

今回の改正法案は、相続土地を不動産のまま国庫帰属させるための制度を具体的に定めたという点で画期的といえます。しかしながら、その要件を満たす土地は相続不動産全体のごく一部と思われ、承認申請もかなり困難なものになることが予想されます。

(参考)
法務省HP 法制審議会第189回会議(令和3年2月10日開催)
配布資料2:民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案【PDF】