判決による登記とは?

仮にAさんとBさんで不動産を売買したとしましょう。

Aさんが売主、Bさんが買主です。

Bさんは売買代金を支払いました。
そこで、Bさんは不動産の名義を自分の名義にする登記をしたいのですが、Aさんが手続きに協力をしてくれません。
(Aさんが登記に必要な不動産の権利書又は登記識別情報通知と印鑑証明書の提供、委任状等への実印押印を協力してくれません。)

売買のように、売った人と買った人という各当事者の関係がある不動産の登記は、その当事者間が共同で登記をしなければなりません。
(不動産登記は共同で申請しようの原則があります。)

ところが、上記の例でいう売主のAさんが手続きに協力をしてくれないので、Bさんはいつまでたっても買った不動産を自分のものだとする登記ができないのです。

そのような場合、Bさんは
『不動産を買って不動産の権利をもっているのだから、Aさんは登記に協力しろ!!』
とAさんに言いたいわけです。当然でしょう。

そのような権利の実現のために、使われる登記申請方法を『判決による登記』と言います。

 

判決による登記にすればどうして手続きができるの?

民法上、BさんはAさんと契約を交わした(そして、代金も支払った)ので、

BさんはAさんに対して登記請求権があります。BさんがAさんに対して請求できるBさんの権利です。
うらを返せば、AさんはBさんに登記に協力するというAさんの債務(義務)があるのです。

さて、Aさんの債務がなされない時、民法ではどのようなことが書いてあるでしょうか?
条文の一部を抜粋しましょう。

 

★民法414条(履行の強制)  1項本文 

債務者(Aさん)が任意に債務(Aさんの債務である『登記に協力する意思表示』)の履行をしないときは、

債権者(Bさん)は、民事執行法…の規定に従い、…履行の強制を裁判所に請求することができる。

 

さて、上記の条文には()をつけて、難しいところを具体的に書いてみました。上記のAさんの債務である『登記に協力する意思表示』が重要です。

 

本来、前述の「不動産登記は共同で申請しようの原則」があるため、Aさんが登記に協力し登記申請する意思の確認手段(法務局が所有権移転をしてもいいと判断できる資料)として、

Aの不動産の権利書、委任状、印鑑証明書を法務局に提出する必要があります。

 

ですが、今回のようにAさんが登記の申請に協力してくれない(=Aさんの『登記に協力する意思表示』を確認できない)場合、その代替方法である判決による登記によって、

裁判所の力でAの意志表示を強制させる請求ができますよというのがこの条文の核心となるのです。

では、裁判所の力をもってして、Aさんの『登記に協力する意思表示』がなされたと扱われるタイミングはいつなのでしょう??

 

Aさんの『登記に協力する意思表示』がどのタイミングでなされる??

 

さてさて。その仕組は、下記の条文となります。

 

★民事執行法177条(意思表示の擬制)  1項本文 

意思表示をすべきこと債務者に命ずる判決(Aさんは『登記に協力する意思表示』せよ!!)その他の裁判が確定し、

又は和解…に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定…の時に意思表示をしたものとみなす。

 

以上の条文から、判決が確定したとき(その他、条文上で言えば和解等の債務名義が成立したときも)に、

Aさんは『登記に協力する意思表示』をしたものとみなされます。

 

以上をまとめると下記の図式になります。

 

判決(判決書正本とその判決内容が確定したと裁判所が証明したもの)

= Aの不動産の権利証(登記識別情報通知)、委任状、印鑑証明書

 

そして、確定した判決を提供すれば、そこにはAさんの『登記に協力する意思表示』がされたとみなされ、
Bさんは登記手続をAと共同することもなく、お一人で申請することができるのです。

 

※参考条文

★不動産登記法63条(判決による登記等)  1項本文 

…申請を共同してしなければならないものの一方(Bさん)に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、

当該申請を共同してしなければならない者の他方(Aさん)が単独で申請することができる。

 

以上が判決による登記の基本的な解説です。

今まで述べたご説明の基礎として、

実際に登記申請する場合の申請書(申請情報)の記載方法やより詳しい内容を今後のお役立ち情報でご紹介しましょう。

 

本日はここまで。